スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ブルーノ・パリエ著/近藤純五郎監修・林昌宏訳『医療制度改革―先進国の実情とその課題』白水社、2010年4月

本書は、パリ政治学院教授ブルーノ・パリエ氏のフランス語著書La re´forme des syste`mes de sante´.の日本語全訳である。著者は、現在、フランス国立科学センターのメンバーで、「ヨーロッパの社会保障制度改革」の審議会のメンバーとして、フランスならびにヨーロッパの社会保障制度の改革に携わっている。専門は医療制度改革や年金制度をはじめとする社会保障制度の国際比較である。著者は「福祉を費用としてではなく、投資として捉えることのできる制度づくりが必要なのではないか」と問いかける。
 米国、スイス、フランスなど、最も自由化が進んだ国の医療制度は、最もコストが高いにもかかわらず、優秀な医療成果を残していない。きちんとしたデータから、医療分野の市場競争は医療費を急増させ、社会的格差を拡大させることがわかっている。要するに、医療サービス提供を市場にまかせることは、保険会社をはじめ金融市場にとっては朗報かもしれないが、民営化推進論者のブィジョンとは異なり、貧富の差が医療の差となり、ひいては寿命の差となる、恐ろしい社会の到来になると著者は警告する。
 1980年代前半に福祉を切り捨てたサッチャー政権のイギリスとレーガン政権の米国において、両国の平均寿命の伸び率が他のOECD諸国よりも下がったことを引き合いに出しながら、一部の業界の有利のために最大の公益ともいえる平均寿命が破壊されてしまったと指摘する。
 私は、2010年10月に東京で開催された、保健福祉広報協会主催の「H.C.R(Home Care & Rehabilitation Exhibition).2010国際シンポジウム」で「ヨーロッパの医療制度改革の動向と評価」と題したパリエ氏の講演を聞く機会を得た。氏が医療への競争原理導入を厳しく批判するとともに、日本の高齢者医療制度も批判したことに強く共感した。パリエ氏がいうには、ヨーロッパ諸国には「連帯」の思想があり、高齢者のような弱者だけを集めた制度設計などありえないそうである。日本の医療制度ももう一度「連帯」という言葉を思い起こすべきではないだろうか。

スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
プロフィール

Author:ショートビーチ
小磯明のブログへようこそ!
これから、私が読んだ本の紹介などをしてゆきます。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。